製菓衛生師と菓子製造技能士の違い|知識の資格と技能の資格

製菓衛生師と菓子製造技能士の違いを、知識の資格と技能の資格として解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が厚生労働省・都道府県などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。試験日程や受験資格、手数料は都道府県や年度によって変わることがあるため、最新の情報は受験する都道府県(実施団体)の公式サイトで確認してください。

パティシエの資格を調べていると、製菓衛生師と菓子製造技能士の2つが並んで出てきますよね。どちらを取ればいいのか、両方いるのか迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、製菓衛生師は「衛生と知識」の証明、菓子製造技能士は「作る技能」の証明です。根拠の法律も試験の形も違う、別々の国家資格なんです。

この記事を読むと、2つの資格の違いと、キャリアの段階ごとにどちらから取るといいかが分かります。

目次

製菓衛生師と菓子製造技能士の違いは?

先に結論

製菓衛生師は都道府県知事の免許で、筆記試験で衛生や食品の知識を問われます。菓子製造技能士は技能検定という国家検定で、実技試験で実際にお菓子を作ります。

『どっちもパティシエの資格でしょ?』と思いますよね。実は、2つは生まれた法律からして違います。

比べる点製菓衛生師菓子製造技能士
証明するもの衛生と知識作る技能
根拠の法律製菓衛生師法職業能力開発促進法
資格の種類都道府県知事の免許(名称独占)国家検定(技能検定)
実施するところ都道府県(または広域連合)都道府県職業能力開発協会
試験の形筆記(四肢択一のマークシート)実技試験で実際に作る
等級なし1級・2級(3級もある)
種類製菓実技で和菓子・洋菓子・製パンから1つ選ぶ洋菓子製造作業・和菓子製造作業に分かれる
受験・受検の条件養成施設で1年以上、または菓子製造業で2年以上2級は実務経験2年以上、1級は7年以上が目安

「試験の形」の行を見ると、違いがよく分かります。製菓衛生師試験の「製菓理論及び実技」は名前に実技とありますが、筆記で答える試験です。

「名乗る資格」と「腕前の証明」

製菓衛生師は、免許を持たない人がその名前を名乗れない名称独占の資格です。ただし業務独占ではないので、免許が無くてもお菓子を作る仕事はできます。

菓子製造技能士は、決められた時間の中で課題のお菓子を作り、その出来で技能の高さを認めてもらう検定です。等級があるので、腕前の段階を伝えられるのが特徴ですよね。

例えば、面接でこんなふうに話せると伝わりやすくなります。

  • 「製菓衛生師として、衛生管理と材料の知識を学んできました」
  • 「菓子製造技能士の2級に合格して、決まった時間で仕上げる力を身につけました」

準備のしかたも、まったく違う

試験の形が違うので、準備のしかたも変わります。ここを知っておくと、取る時期を決めやすくなりますよ。

製菓衛生師の準備
  • 6科目の知識を、テキストと過去問で身につける
  • 多くの都道府県が公開している過去問題で、出題の形に慣れる
  • 机に向かう時間を、仕事の合間に少しずつ作れる
菓子製造技能士の準備
  • 実際に作る練習の時間と場所がいる
  • 決まった時間の中で仕上げる段取りを、体で覚える
  • 職場の先輩に作業を見てもらえると上達しやすい

『家で勉強するのは得意だけど、人前で作るのは緊張する』という方は、製菓衛生師から始めると気持ちが楽です。反対に、手を動かす方が覚えやすい方は、技能士の練習が楽しく感じられるかもしれません。

製菓衛生師という資格そのものは、製菓衛生師とは?どんな資格かで詳しく紹介しています。

菓子製造技能士はどんな資格?

等級ごとに、求められる経験年数が変わる

菓子製造技能士は、洋菓子と和菓子に分かれた技能検定です。2級は実務経験2年以上、1級は7年以上が目安で、上の級ほど長い経験が必要になります。

『技能士って、どこで受けるの?』という方もいますよね。技能検定は国の制度で、実際の試験は都道府県職業能力開発協会が行っています。

等級と受検の目安

等級受検に必要な経験の目安こんな人向け
3級実施団体の案内で確認学び始めの人
2級実務経験2年以上(製菓の学科を修了した人などは短くなる)現場で数年働いた人
1級実務経験7年以上(2級合格後2年など)現場の中心で長く働いてきた人

経験年数の数え方は、学んだ学校や持っている級で変わります。細かい条件は、中央職業能力開発協会や受検する都道府県の職業能力開発協会の案内で確かめてください。

補足

同じ技能検定の中には、パン製造技能士という資格もあります。パン職人を目指す方は、名前だけでも覚えておくと調べやすくなります。技能検定の全体は中央職業能力開発協会のサイトで確認できます。

洋菓子と和菓子、どちらで受ける?

菓子製造技能士は「洋菓子製造作業」と「和菓子製造作業」に分かれています。ふだん作っているお菓子に合わせて選ぶのが自然です。

ケーキ店で働いているなら洋菓子、和菓子店で上生菓子を作っているなら和菓子、という選び方ですね。

受検を考え始めたら、先に確かめたいこと

技能士に興味が出てきたら、いきなり練習を始める前に、次の点を確かめておくと遠回りせずに済みます。

  • 受けたいのは洋菓子製造作業か、和菓子製造作業か
  • 今の実務経験の年数で、どの級を受けられるか
  • 受検する都道府県で、いつ頃に案内が出るか
  • 実技の練習を、職場や学校の設備でさせてもらえるか

特に4つ目は、早めに職場の先輩や上司に相談しておきたいところです。「技能士を受けたいので、閉店後に練習してもいいですか」と一言伝えるだけで、応援してもらえることも!

技能士に合格すると、製菓衛生師試験の科目が免除になる

2つの資格は、試験の科目でつながっている

菓子製造技能士の1級・2級の技能検定に合格した人は、製菓衛生師試験の「製菓理論及び実技」が免除されます。2つは別々の資格ですが、順番を工夫すると試験の負担を軽くできるんです。

これは、2つの資格を比べる時に意外と知られていない関係です。

製菓理論及び実技は、製菓衛生師試験の問題のおおむね4割を占める科目です。ここが免除になるのは、試験の準備をするうえで大きいですよね。

免除を生かす時の流れ

技能士から製菓衛生師へ進む一例
  1. 菓子製造業のお店で働きながら、実務経験を積む
  2. 菓子製造技能士2級を受検し、合格する
  3. 菓子製造業で2年以上の経験がそろったら、製菓衛生師試験に申し込む
  4. 申し込む時に、製菓理論及び実技の免除の手続きを確かめる
  5. 残りの5科目(衛生法規・公衆衛生学・食品学・食品衛生学・栄養学)に絞って勉強する
菓子製造技能士の1級・2級に合格すると、製菓衛生師試験の製菓理論及び実技が免除になる関係を示した図解
気をつけたいところ

免除になるのは1科目だけで、製菓衛生師の受験資格そのものが不要になるわけではありません。養成施設で学ぶか菓子製造業で2年以上働く、という条件は別に満たします。免除の申し込み方は実施団体ごとに違うので、受験案内で確かめてください。

試験科目の中身や問題数は、製菓衛生師試験の内容と日程で詳しく紹介しています。日程や合格基準は都道府県ごとに違うので、最新は受験する都道府県(実施団体)の公式サイトで確認してください。

キャリアの段階ごとに、どちらから取る?

学ぶ時期は製菓衛生師、現場で腕を磨く時期は技能士

学校で学んでいる時期や働き始めの頃は、知識を問う製菓衛生師が取りやすい時期です。現場で経験を積んだら、作る技能を示す菓子製造技能士に挑戦する、という流れが自然です。

『結局、どっちを先に取るのがいいの?』という疑問、ありますよね。ここは損得より、今の自分の段階で決めるのがおすすめです。

今の段階先に目指しやすい資格理由
製菓衛生師養成施設の学生製菓衛生師卒業で受験資格がそろい、学んだ知識で受けられる
菓子店で働き始めて1〜2年目製菓衛生師2年で実務経験ルートの受験資格になる
菓子店で働いて数年、技術に自信がついてきた菓子製造技能士2級腕前を等級で示せる
製菓衛生師をまだ持っていない技能士合格者製菓衛生師製菓理論及び実技の免除を生かせる
現場で長く働き、後輩を教える立場菓子製造技能士1級長い経験の証明になる
キャリアの段階に合わせて、製菓衛生師と菓子製造技能士のどちらを先に目指すかを示した図解

自分の段階を確かめるチェック

当てはまるものを数えてみてください
  • 今、製菓衛生師養成施設で学んでいる
  • 菓子製造業の許可があるお店で働いている
  • 決まった時間の中で、同じお菓子をきれいに作れる自信がある
  • 衛生や材料の知識を、言葉で説明できるようになりたい
  • 後輩に作り方を教える場面が増えてきた

上の2つに当てはまるなら、まず製菓衛生師が近道です。下の3つに多く当てはまるなら、技能士の受検も考えてみてください。

お店を開きたい人はどう考える?

将来お菓子屋さんを開きたい方にとって、製菓衛生師には分かりやすい使い道があります。営業施設ごとに置く食品衛生責任者に、養成講習会を受けずになれることです。

技能士は、作る腕前をお客さんや取引先に伝える材料になります。開業を目指すなら、まず製菓衛生師で衛生の土台を作り、技能士で腕前を示す、という順番も考えられますね。

実務経験の数え方は製菓衛生師の受験資格で紹介しています。

製菓衛生師ドットコム

製菓の学校・講座を比べたい方へ

製菓衛生師を目指す道は、製菓専門学校(養成施設)の昼間・夜間・通信課程、大学・短大、お店で働きながらの実務経験とさまざまです。自分に合う学び方を選ぶには、気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習の量や試験対策、就職の支え方を見比べるのが近道です。比べ方のチェックポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

受験資格が得られるのは都道府県知事が指定した養成施設です。指定の有無は厚生労働省の養成施設一覧や各学校の案内で確認できます。

製菓衛生師と菓子製造技能士でよくある相談

相談は「どっちを取るか」と「受験資格」に集まる

2つの資格については、どちらを取るべきか、アルバイトの経験で受けられるか、お菓子教室で資格が取れるか、といった相談がよく見られます。

取るなら、どちらがいい?

製菓衛生師と菓子製造技能士、取るならどちらがいいか、という相談です。

答えは、今の立場で変わります。学校で学んでいる方や働き始めの方は、製菓衛生師の方が受験資格をそろえやすいです。

現場で経験を積んだ方は、作る技能を等級で示せる技能士にも挑戦する価値があります。どちらか一方を選ぶというより、時期をずらして両方を目指す方も多いんです。

アルバイトでパン屋に2年いたら、受験資格になる?

パン屋でアルバイトとして2年間製造をしたら、受験資格が得られるか、という相談です。

製菓衛生師の場合、千葉県の受験案内の例では、菓子製造業の許可を得たお店での従事が対象です。アルバイト・パートでも対象になり得ますが、勤務日数などの扱いは実施団体で違います。

まずはお店の営業許可の種類を確かめ、受験する都道府県の受験案内で条件を見てみてください。技能士の受検資格の数え方は、職業能力開発協会の案内で確かめます。

週1回のお菓子教室で資格は取れる?

週に1回お菓子教室に通って、製菓衛生師や菓子製造技能士の資格が取れるか、という相談です。

製菓衛生師の受験資格は、都道府県知事が指定する養成施設で1年以上学ぶか、菓子製造業で2年以上働くかのどちらかです。一般のお菓子教室に通っても、受験資格にはなりません。

技能士も、受検には実務経験が求められます。趣味のお菓子作りから仕事にしたい方は、まず養成施設かお店で働く道から考えてみてください。

よくある質問

製菓衛生師と菓子製造技能士は、どちらも国家資格ですか?

どちらも国の法律に基づく資格です。製菓衛生師は都道府県知事の免許、菓子製造技能士は職業能力開発促進法に基づく国家検定です。

菓子製造技能士に合格すると、製菓衛生師になれますか?

なれません。製菓衛生師試験の製菓理論及び実技が免除になりますが、受験資格を満たして残りの科目に合格し、免許申請をする必要があります。

菓子製造技能士の試験では、実際にお菓子を作りますか?

はい。実技試験で実際に作ります。製菓衛生師試験は筆記だけで、作る試験はありません。

和菓子職人を目指す場合も、2つの資格は役に立ちますか?

役に立ちます。製菓衛生師試験の製菓実技は和菓子を選べますし、菓子製造技能士にも和菓子製造作業があります。

パティシエになるのに、2つの資格は要りますか?

どちらも、持っていないとお菓子を作る仕事ができない資格ではありません。知識を示したいなら製菓衛生師、腕前を示したいなら技能士、と目的で考えてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 製菓衛生師は衛生と知識、菓子製造技能士は作る技能を証明する資格
  • 製菓衛生師は都道府県知事の免許で筆記試験、技能士は国家検定で実技試験がある
  • 技能士の1級・2級に合格すると、製菓衛生師試験の製菓理論及び実技が免除になる
  • 学校や働き始めの時期は製菓衛生師、現場で経験を積んだら技能士が目指しやすい

料理の資格との違いも知りたい方は、製菓衛生師と調理師の違いも読んでみてください。

まずは表で今の自分の段階を探して、次に目指す資格を1つ決めてみましょう!

製菓衛生師ドットコム

製菓衛生師ドットコム 編集部

製菓衛生師とはどんな資格か、受験資格と取り方、試験の内容と対策、専門学校や通信課程での学び方、調理師など関連資格との違いまでを、これから目指す人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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